住宅購入に関するあらゆる「税」についての情報を記載いたします。
随時情報更新していきますので、しばらくお待ちください。
印紙税
1.印紙税とは
土地や建物の取引を行った場合、まず最初に必要となる税金が印紙税です。印紙税は不動産の譲渡に関する契約書、借入金等の金銭消費貸借契約書を作成すれば課せられます。
印紙税の納付は、契約書等に一定の収入印紙を貼付けし、消印をすることによって行います。
本契約書に先立って仮契約書、念書、覚書等が作成される場合がありますが、これら仮契約書等も契約書であり、本契約書だけでなく仮契約書等にも印紙を貼ることが必要であり、また、停止条件付きの契約書であっても印紙を貼る必要があります。なお、次の文書(主要なもの)については印紙の貼付が不要となっています。
- 物品切手
- 地役権、質権、抵当権、租鉱権、採石権、漁業権または入漁権の設定または譲渡に関する契約書
- 賃貸借または使用貸借に関する契約書※土地賃貸借の場合は、一時使用を含め、課税文書となります。
- 委任状または委任に関する契約書(媒介契約書 売買契約委託書)
- 物品または有価証券の譲渡に関する契約書
2.課税標準および税額
(1)不動産の譲渡と消費貸借に関する契約書の印紙税(一通ごと)
記載金額 | 印紙税 |
---|---|
1万円未満 | 非課税 |
1万円以上10万円以下のもの | 200円 |
10万円を超え50万円以下のもの | 400円 |
50万円を超え100万円以下のもの | 1,000円 |
100万円を超え500万円以下のもの | 2,000円 |
500万円を超え1,000万円以下のもの | 1万円 |
1,000万円を超え5,000万円以下のもの | 2万円 |
5,000万円を超え1億円以下のもの | 6万円 |
1億円を超え5億円以下のもの | 10万円 |
5億円を超え10億円以下のもの | 20万円 |
10億円を超え50億円以下のもの | 40万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 |
記載金額が無いもの | 200円 |
(2)建築請負および業務の請負に関する契約書の印紙税
記載金額 | 印紙税 |
---|---|
1万円未満 | 非課税 |
1万円を超え100万円以下のもの | 200円 |
100万円を超え200万円以下のもの | 400円 |
200万円を超え300万円以下のもの | 1,000円 |
※上記金額を超える場合は(1)と同様です。
(3)不動産譲渡契約書と工事請負契約書の特例
平成9年4月1日から平成30年3月31日までの間に締結された不動産譲渡契約書と工事請負契約書にかかわる印紙税の税率は、上記の(1)(2)にかかわらず次の通りとなります。
記載金額 | 印紙税 |
---|---|
1,000万円を超え5,000万円以下のもの | 1万5千円 |
5,000万円を超え1億円以下のもの | 4万5千円 |
1億円を超え5億円以下のもの | 8万円 |
5億円を超え10億円以下のもの | 18万円 |
10億円を超え50億円以下のもの | 36万円 |
50億円を超えるもの | 54万円 |
※1,000万円以下のものについては(1)(2)によることになります。
(4)不動産譲渡契約書と工事請負契約書の印紙税
記載金額 | 印紙税 | |
---|---|---|
不動産譲渡契約書 | 建設工事請負契約書 | |
10万円を超え50万円以下のもの | 100万円を超え200万円以下のもの | 200円 |
50万円を超え100万円以下のもの | 200万円を超え300万円以下のもの | 500円 |
100万円を超え500万円以下のもの | 300万円を超え500万円以下のもの | 1,000円 |
500万円を超え1,000万円以下のもの | 5,000円 | |
1,000万円を超え5,000万円以下のもの | 1万円 | |
5,000万円を超え1億円以下のもの | 3万円 | |
1億円を超え5億円以下のもの | 6万円 | |
5億円を超え10億円以下のもの | 16万円 | |
10億円を超え50億円以下のもの | 32万円 | |
50億円を超えるもの | 48万円 |
解説
印紙と契約書の効力
印紙税法では、印紙を貼らなかった場合は3倍、消印を怠った場合は印紙税と同額の税金(過怠税)を課されますが、契約書などの効力にはいささかも影響しません。ただ、「印紙」は同じ金額でもデザインがときどき変わる場合があります。税務調査などを受けた場合あわてて印紙を貼ったりすると、契約書の作成時にそのデザインの印紙がまだ出ていなければ、契約書まであとから作ったものではないかと疑われてしまいます。収入印紙は、契約書作成時にきちんと貼付することが必要です。
本書一通コピー方式
通常は、契約書は2通作成して当事者がそれぞれ保管するため2通ともに印紙が必要となりますが、契約書を1通のみ作成して契約者の一方が保管し、他の契約者はコピーを保管することにすれば印紙は契約書1通に貼付するだけですみます。
ただし、税務調査などで後日契約の事実関係を確認する場合には、必ず原本の提示を求められますし、その原本をどちらで保管するのか当事者間での話し合いが必要となりましょう。なお、「写」と表示された文書であっても、契約当事者の署名、押印のあるもの、あるいは写しであることの契約当事者の証明のあるもの等は課税文書に該当し、印紙の貼付が必要ですから注意が必要です。
コンサルタント契約について
他人の労力を利用する契約には、請負、委任、雇用の3種類があり、このうち請負契約については印紙の貼付が必要です。
この3種類の契約の内容は民法の規定によりますが、例えば職業野球の選手等の役務の提供契約は請負契約として印紙が必要とされているように、具体的事例についてのそれぞれの区別は極めて難しい場合があり、事前に税務署に確認しておくことが必要な場合もありましょう。
コンサルタント契約もその内容によって印紙が必要な請負契約となるものもあり、印紙が不要な委任契約になるものもあります。
例えば、建築工事のコンサルタント契約として、必要な設計図の作成と工事管理を併せて委託するための契約書は「対価を得て設計図を作成する契約」として請負契約書に該当し印紙が必要となり、工事管理事務だけを委託するものは、委任契約となって印紙は不要となります。
3.印紙税を誤って納付した場合
税務署に印紙税を誤って納付した文書を持参のうえ「印紙税過誤納確認申請書」を提出することにより還付を受けることが出来ます。
登録免許税
土地、建物を取得した後、その権利を第三者に対抗するためには登記をしなければなりません。登記を行う場合に必要な税金が登録免許税です。登録免許税は、固定資産税課税台帳に記載されている価額(固定資産税評価額)に基づいて計算します。新築建物の場合は新築建物価額認定基準法を基に、登記官が認定した価額に基づいて計算します。
不動産にかかわる登録免許税(抄)
登記等の事項 | 課税標準額 | 税率 |
---|---|---|
(1)所有権の保存 | 不動産の価額 | 4/1000 |
(2)所有権の移転 ①相続または合併 ②遺贈・贈与 ③共有物の分割 ④その他(売買等)土地建物 |
不動産の価額 | 4/1000 20/1000 4/1000 15/1000 20/1000 |
(3)地上権・賃借権の設定 | 不動産の価額 | 10/1000 |
(4)地役権の設定 | 承役地の個数 | 1個につき1,500円 |
(5)質権・抵当権の設定 | 債権金額 | 4/1000 |
(6)質権・抵当権の移転 ①相続または合併 ②その他(売買等) |
債権金額 | 1/1000 2/1000 |
(7)抵当権の順位の変更 | 抵当権の件数 | 1件につき1,000円 |
(8)仮登録 ①所有権の移転(売買) ②その他の原因 |
不動産の価額 不動産の個数 |
10/1000 1個につき1,000円 |
(9)附記・更正・変更・抹消 | 不動産の個数 | 1個につき1,000円 |
(10)信託の設定 | 不動産の価額 | 3/1000 |
※1)
平成18年4月1日から平成27年3月31日まで、税率を軽減する措置が講じられています。(表示の税率は特例適用後です)
平成23年4月1日から平成24年3月31日の期間:13/1000
平成24年4月1日から平成27年3月31日の期間:15/1000
※2)
平成23年4月1日から平成24年3月31日の期間:2.5/1000
平成24年4月1日から平成27年3月31日の期間:3/1000
<自己住居用住宅に対する軽減税率の特例-個人>
下記の用件を全て満たす居住用住宅については、軽減税率が適用されます。
(1)新築住宅、未使用の健売住宅、高層分譲住宅の場合
①平成27年3月31日までに新築または取得して、自己の住居用に使用するものであること
②床面積が50㎡以上であること
③新築または取得後1年以内に登記すること
(2)中古住宅の場合
上記以外にさらに、木造は建築後20年以内、木造以外は25年以内のものという条件が付きます。中古住宅の取得の場合は、建築後数年用件、または新耐震基準に適合することが条件となります。
自己居住用住宅に対する軽減税率
登記等の事項 | 税率 | |
---|---|---|
新築住宅 | 中古住宅 | |
所有権の保存 | 1.5/1000 | – |
所有権の移転 | 3/1000 | 3/1000 |
抵当権の設定 | 1/1000 | 1/1000 |
解説
仮登記と登録免許税
土地の売買契約をして契約時に半金支払い、残額は土地の引渡時に支払うことになっている場合、土地の所有権移転登記は残額支払時に行うのが通常です。しかし、もし売主が他の第三者に売却し、所有権移転登記までしてしまうと、買主は他の第三者に対抗できません。
このようなことを防止する為には、買主は半金支払時に「所有権移転請求権保全」の仮登記をしておくとよいでしょう。仮登記をした後で第三者が所有権移転登記、抵当権設定登記等をしても、先に仮登記をした人が残金を支払って本登記に直せば、第三者の行った登記の取り消しを求めることが出来ます。所有権移転の仮登記の税率は1000分の10です。そして本登記をするときに、この本登記をするときの税率から1000分の10が控除されます。
TMK(特定目的会社)について
TMKは、平成10年に資産の流動化を促し不良債権の処理を目的とする、経済対策の一環として創設され、次のような税制上の措置が取られています。
①法人税 次の要件のもと支払配当額の損金算入
イ)不動産などの資産の裏付けした証券の発行
ロ)他の事業を行っていないこと
ハ)配当可能利益の90%以上を配当すること
②登録免許税
イ)設立登記 定額30,000円
ロ)取得不動産の所有権移転 1000分の13
③不動産取得税等の軽減
TMKの効果は、債権者にとって固定化していた不良債権が現預金等の流動性のある資産に転換できることです。
不動産所得税
土地および建物取得すれば、都道府県から不動産取得税が課せられます。
不動産所得税の税額は課税標準額に税率(土地・住宅用家屋は100分の3:平成27年3月31日まで。平成27年4月1日以後は100分の4。住宅以外の店舗・事務所等の家屋は100分の4。)を乗じて算出されます。
課税標準額は固定資産税評価額になりますが、宅地の取得が平成27年3月31日までに行われた場合は課税標準額を固定資産税評価額の2分の1とします。
なお、この場合における取得とは有償取得だけでなく、交換・寄付・買替え等の取引を含みます。
ただし、法人の合併、相続等は含まれません。
解説
住宅等を取得した場合の減額措置
1.住宅については
①1戸の床面積が50㎡(アパート等は40㎡)以上240㎡以下(以下特例適用住宅といいます)
②建築後20年以内のもの(耐火建造物は25年以内)、または、新耐震基準に適合しているもの、ただしアパートなどは除く
新築住宅は①、中古住宅は①と②の条件を満たした場合に適用があります。独立家屋については1戸、アパート等の共同住宅については1区画ごとに課税標準額から1,200万円(中古住宅の新築が平成9年3月31日以前の控除額は、別途定められています)を控除して不動産取得税を計算します。(地73の14)
長期優良住宅を当該期間(平成26年3月31日まで)に新築取得した場合には、1,200万円の控除額が1,300万円となります。
ただし、法人は中古住宅の場合には適用がありません。
2.下記の要件を満たす住宅用土地については減額措置があります
①土地を取得してから3年以内に特例適用住宅を新築した場合
②借地の上に特例適用住宅を新築した人が、新築後1年以内に土地(底地)を買取った場合
③新築未使用の土地付き特例適用住宅を新築後1年以内に取得した場合
④土地を取得した人が、取得した日から1年以内に自己が居住する中古の特例適用住宅を取得した場合(同時取得を含む)
⑤借地して自己が居住する中古の特例適用住宅を取得した人が、住宅の取得後1年以内にその土地(底地)を買取った場合
このような場合には、上記によって算定した税額から次の(a)(b)いずれか多い金額が減額されます。
(a)150万円×税率
(b)1㎡あたりの土地課税標準額×住宅の延床面積の2倍ただし、200㎡を限度×税率
注)ここでいう住宅および宅地とは、自己の居住用の他、アパート・賃家用マンション等を含みます。
(ただし、法人は中古住宅の場合には適用がありません)
なお、住宅から除かれる別荘の範囲は「日常生活の用に供しない家屋のうち専ら保養の用に供するもの」とされています。つまり、いわゆる「※セカンドハウス」も住宅の中に含まれることになります。
注)セカンドハウスは別荘とは異なります。
ケース
①課税標準額2,000万円の特例適用住宅を新築した場合の不動産取得税
(2,000万円ー1,200万円)×100分の3=24万円
②土地面積300㎡、固定資産税評価額3,000万円(1㎡当たり10万円)、延床面積100㎡の特例適用住宅を新築した場合の土地の不動産取得税
(a)150万円×100分の3=4万5000円
(b)10万円×2分の1×(100㎡×2)×100分の3=30万円
(a)<(b)ゆえに、不動産所得税は
3,000万円×2分の1×100分の3ー30万円=15万円
住宅ローン控除、住宅取得等の税額控除(所得税)
住宅ローン控除制度の利用
住宅の取得は容易ではなく、入手した場合でも、通常は多額の住宅ローンの返済に追われることになります。
そこで、これらの負担を少しでも軽減するために、住宅の新築・購入・増改築に一定のローンを利用した場合に、平成29年居住分まで、下記の所得税額の税額控除が認められています。
(1)住宅ローン控除制度(措法41条)
居住の用に供した年により次のとおりです。
居住年 | 平成24年 | 平成25年 | 平成26年1月~3月 | 平成26年4月~ 平成29年12月~ |
---|---|---|---|---|
減税期間 | 居住年から10年間 | |||
控除率 | 1% | 1% | 1% | 1% |
借入残高 | 3,000万円以下 | 2,000万円以下 | 2,000万円以下 | 4,000万円以下 |
最大減税額 | 300万円 | 200万円 | 200万円 | 400万円 |
注)平成26年4月から平成29年12月までの欄の金額は、一般の住宅の対価の 額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が8%又は10%である場合の 金額であり、それ以外の場合における借入限度額は2,000万円です。
認定長期優良住宅に該当する場合は次のとおりです。
居住年 | 平成24年 | 平成25年 | 平成26年1月~3月 | 平成26年4月~ 平成29年12月~ |
---|---|---|---|---|
減税期間 | 居住年から10年間 | |||
控除率 | 1% | 1% | 1% | 1% |
借入残高 | 4,000万円以下 | 3,000万円以下 | 3,000万円以下 | 5,000万円以下 |
最大減税額 | 400万円 | 300万円 | 300万円 | 500万円 |
注)平成26年4月から平成29年12月までの欄の金額は、認定住宅の対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が8%又は10%である場合の金額であり、それ以外の場合における借入限度額は3,000万円です。
(2)住宅ローン控除の適用条件
新築・中古取得または100万円超の増改築
取得・増築後6ヶ月以内に居住の用に供する
返済期間10年以上の一定の借入金年末残高がある
床面積が50m以上で、1/2以上が居住用
合計所得金額3,000万円以下
居住の用に供した前後各2年間に一定の、
所得税の特例を受けておらず、受ける予定もない
適用が受けられます
注意を要する点
①特別控除の対象となる借入金は、返済期間が10年以上のものに限られています。
②借入金の借入先は以下のようなものに限定されています。
- 民間の金融機関
- 住宅金融公庫
- 地方公共団体
- 独立行政法人都市再生機構
- 建築業者
- 宅建取引業者
- 勤務先の融資(実質年利が1%以上のもの)
- 年金住宅融資
- 財形住宅資金
- その他
③借入金は建物部分と土地に関するものが特別控除の対象となります。
④中古住宅の場合は建築年数制限があります。
- 耐火建築物25年以内
- 耐火建築物以外20年以内
中古住宅は、建築後年数要件、または新耐震基準に適合した住宅及び、既存住宅売買取癖担保保険に加入している住宅が対象となります。
⑤前後各2年間は以下の特例を重複して適用することはできません。
- 居住用の3,000万円特別控除
- 居住用の買換え(交換)の特例
- 既成市街地等内にある土地等の買換え(交換)の特例
- 居住用の軽減税率の特例
- 認定事業用地適正化計画の事業用や区域内にある土地等の交換等
⑥特定の居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除、特定の居住用財産の譲渡損失の損益通算繰越控除の特例の適用を受けた場合は適用することができます。
⑦特別控除を受けるためには、確定申告をする必要かあります。ただし、サラリーマンの場合は2年目以降は年末調整でも受けられます。
- 土地、建物の登記簿の全部事項証明またはー部事項証明
- 住民票の写し
- 銀行等の残高証明書
- 売買契約書等
(3)税源移譲の実施に伴う特例措置
平成11年1月1日から平成18年12月31日までの間に入居した方について個人の道府県民税及び市町村民税の住宅ローン控除制度の特例措置の適用を受けられる場合があります。
税源移譲の実施に伴い平成19年分以降の所得税 (国税) の額が減少した場合に、住宅ローン控除額が控除 しきれないこととなった場合への対応として、住宅ローン控除の適用がある方 (平成11年から平成18年までの間に入居した方に限ります。)の平成19年分以降の 各年分において、住宅ローン控除可能額と税源移譲実 施前の税率を適用して算定した所得税額(住宅ローン 控除額の適用がないものとした場合の所得税額とします。)のいずれか少ない金額から当該年分の所得税額 (住宅ローン控除額の適用がないものとした場合の所 得税額とします。)を控除した残額(0を下回る場合を 除きます。) については、翌年度分の個人住民税から、 その残額に相当する金額を減額できる措置が講じられています。
(4)住民税額からの控除
平成21年から、平成26年3月までに居住した者で平成21年分以降、住宅ローン控除の適用がある方のうち、ローン控除額から、所得税額を控除した残額がある時は、各年分毎に課税所得金額の5%相当額(最高97,500 円)を限度として住民税が減額されます。
平成26年4月から平成29年12月まで居住した者は、上記の5%を7%、最高97,500円を最高136,500円と読み替えた金額を限度として住民税が減額されます。なお、市町村に対する申告は不要です。
(5)特定の増改築等に係る住宅ローン控除
①自己の居住の用に供する住宅について特定のバリアフリー改修工事(措法41条の3の2)
特定の省エネ改修工事を含む増改築 等を行った場合において、その住宅を平成25年12月31 日までに自己の居住の用に供したときは、次の表のとおりの増改築等住宅借入金等の年末残高の限度額、控除率及び控除期間による特例が適用されます。
居住年 | 区分 | 増改築等住宅借入金等の年末残高の限度額 | 控除率 | 控除期間 | 各年の最高控除額 | 最高控除額計 |
---|---|---|---|---|---|---|
平成25年12月31日まで | 増改築等工事費用 | 1,000万円 | 1.0% | 5年 | 12万円 | 60万円 |
うち特定のバリアフリー改修工事費用、省エネ改修工事費用 | 200万円 | 2.0% | ||||
平成26年1月から平成26年3月まで | 増改築等工事費用 | 800万円 | 1.0% | 5年 | 12万円 | 60万円 |
うち特定のバリアフリー改修工事費用、省エネ改修工事費用 | 200万円 | 2.0% | ||||
平成25年12月31日まで | 増改築等工事費用 | 750万円 | 1.0% | 5年 | 12万円 | 62.5万円 |
うち特定のバリアフリー改修工事費用、省エネ改修工事費用 | 250万円 | 2.0% |
注)平成26年4月から平成29年12月までの欄の金額は、②の特定の工事費用 に要した費用の額に含まれる消費税等の税率が8%又は10%である場合の金額であり、それ以外の場合における、②の特定の工事費用限度額は200万円、控除期間の最大控除額は60万円です。
② 一定のバリアフリー改修工事が増改築等の範囲に入ります。
1.バリアフリー改修工事の居住者の要件は、50歳以 上の者で次のいずれかに該当する居住者をいいます。
イ)介護保険法の要介護又は要支援の認定を受けている者
ロ)障害者である者
ハ)居住者の親族のうち前記のロ)若しくはハ)に該当する親族又は年齢が65歳以上の親族の いずれかと同居している者
2.特定のバリアフリー改修工事とは、
廊下の拡幅、 階段の勾配の緩和、浴室改良、便所改良、手すりの設置、屋内の段差の解消、引き戸への取替え工事又は床表面の滑り止め化のいずれかに該当する工事 (一定のバリアフリー改修工事)で あること等の要件を満たす改修工事であって、 この改修工事に要した費用の額(工事費用に充 てるための補助金等の額を除きます。)が30万円(平 成26年以降分は50万円)を超えるものをいいます。
3.一定のバリアフリー改修工事とは、
上記2にある 廊下の拡幅、階段の勾配の緩和などの一定の改修工事をいいます。
③一定の省エネ改修工事が増改築等の範囲に入ります。
1.「一定の省エネ改修工事」とは、
①居室の全ての 窓の改修工事、又は①の工事と併せて行う
②床の断熱工事、③天井の断熱工事若しくは
④壁の 断熱工事で、次の要件を全て満たすものをいい ます。
イ)改修部位の省エネ性能がいずれも平成11年基準以上となること
ロ)改修後の住宅全体の省エネ性能が改修前か ら一段階相当以上上がると認められる工事内容であること
ハ)その工事費用の合計額が30万円を超えるものであること
2. 「特定の省エネ改修工事」とは、
注1に定める工事のうち、改修後の住宅全体の省エネ性能が平成11年基準相当となると認められる工事内容のものをいいます。
3. 「一定の要件」について、以下のとおりです。
イ)住宅借入金等について、償還期間5年以上の一定の住宅借入金等を適用対象とする。
ロ)本税制の適用については、住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく登録住宅性 能評価機関、建築基準法に基づく指定確認 検査機関、建築士法に基づく建築士事務所 に所属する建築士、又は住宅暇庇担保責任保険法人が発行する省エネ改修工事等の証明書を要するものとする。
ハ)その他増改築等に係る住宅借入金等を有す る場合の所得税額の特別控除と同様の要件とする。
住宅取得等の税額控除
借入金をしないで、住宅を取得したり、改修工事を行った場合に、一定の要件を満たしている場合に、次のような所得税額の特別控除制度があります。
(1)住宅耐震改修特別控除(措法41条の19の2)
居改修した年 | 算式 | 限度額 |
---|---|---|
21年~25年 | 住宅耐振改修に要した費用の願と 住宅耐震改修に係る耐震工事の標準的な費用の額のいずれか少ない方の金額 (最高200万円)x10% (100円未満の端数切捨て) |
20万円 |
26年1月~3月 | 同上 (最高200万円) |
20万円 |
26年4月~29年12月 | 同上 (最高200万円) |
25万円 |
注)平成26年4月から平成29年12月までの欄の金額は、耐震改修工事に要した費用の額に含まれる消費税等の税率が8%又は10%である場合の金額であり、それ以外の場合における耐震改修工事限度額は200万円と、控除限度額は20万円です。
(2)住宅特定改修特別税額控除(措法41条の19の3)
居改修した年 | 算式 | 限度額 | ||
---|---|---|---|---|
21年4月1日~ 24年12月31日 |
省エネ改修工事 | (一般断熱改修工事等に要した費用の額と一般断熱改修工事等の標準的な費用の額のいずれか少ない方の金額)×10% (最高200万円(太陽光発電設備設置工事を含む場合は最高300万円)) (100円未満の端数切捨て) |
20万円(太陽光発電設備設置工事を含む場合は30万円) | 同一年中に両方に該当する工事を行った場合20万円 (太陽光発電設備設置工事を含む場合は30万円) |
バリアフリー改修工事 | (高齢者等居住改修工事等に要した費用の額と高齢者等居住改修工事等の標準的な費用の額のいずれか少ない方の金額)×10% (最高200万円 平成24年分は最高150万円) (100円未満の端数切捨て) ※特定居住者に限る |
20万円(平成24年分は15万円) | ||
26年1月~3月 | 省エネ改修工事 | (一般断熱改修工事等に要した費用の額と一般断熱改修工事等の標準的な費用の額のいずれか少ない方の金額)×10% (最高200万円(太陽光発電設備設置工事を含む場合は最高300万円)) (100円未満の端数切捨て) |
20万円(太陽光発電設備設置工事を含む場合は30万円) | |
バリアフリー改修工事 | (高齢者等居住改修工事等に要した費用の額と高齢者等居住改修工事等の標準的な費用の額のいずれか少ない方の金額)×10% (最高150万円) (100円未満の端数切捨て) ※特定居住者に限る |
15万円 | ||
26年4月~29年12月 | 省エネ改修工事 | (一般断熱改修工事等に要した費用の額と一般断熱改修工事等の標準的な費用の額のいずれか少ない方の金額)×10% (最高250万円(太陽光発電設備設置工事を含む場合は最高350万円)) (100円未満の端数切捨て) |
25万円(太陽光発電設備設置工事を含む場合は35万円) | |
バリアフリー改修工事 | (高齢者等居住改修工事等に要した費用の額と高齢者等居住改修工事等の標準的な費用の額のいずれか少ない方の金額)×10% (最高200万円) (100円未満の端数切捨て) ※特定居住者に限る |
20万円 |
※住宅借入金等特別控除、特定増改築等住宅借入金等特別控除との選択制。
注)平成26年4月から平成29年12月までの欄の金額は、省エネ改修工事に要した費用の額に含まれる消費税等の税率が8%又は10%である場合の金 額であり、それ以外の場合における改修工事限度額は200万円と、控除限 度額は20万円です。平成26年4月から平成29年12月までの欄の金額は、バリアフリー改修工事 に要した費用の額に含まれる消費税等の税率が8%又は10%である場合 の金額であり、それ以外の場合における改修工事限度額は150万円と、控除限度額は15万円です。
(3)認定長期優良住宅新築等特別税額控除(措法41条の19の4)
居住開始日 | 算式 | 限度額 |
---|---|---|
24年1月1日~25年12月31日 | 長期優良住宅の標準的な費用の額 (最高1000万円)×10%(100円未満の端数切捨て) ※控除しきれない |
50万円 |
26年1月1日~26年3月31日 | 長期優良住宅の標準的な費用の額 (最高1000万円)×10%(100円未満の端数切捨て) ※控除しきれない金額がある場合は翌年に繰越可能。 |
50万円 |
26年4月1日~29年12月31日 | 長期優良住宅の標準的な費用の額 (最高1000万円)×10%(100円未満の端数切捨て) ※控除しきれない金額がある場合は翌年に繰越可能。 |
65万円 |
※住宅借入金等特別控除との選択制。 (国税庁資料より)
注)平成26年4月から平成29年12月までの欄の金額は、住宅の対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が8%又は10%である場合の金額であり、それ以外の場合における控除対象限度額は500万円と、控除限度額 は50万円です。
固定資産税
土地・建物を取得すると、その翌年から毎期、固定資産税が課せられます。固定資産税の声楽は固定資産税課税標準額に税率(標準税率は1.4%ですが、市町村によって異なる場合があります。)を乗じて算定されます。
なお、住宅用地および新築住宅については、以下の要件を満たせば固定資産税が軽減されます。
解説
固定資産税の納税義務者
固定資産税は固定資産に対して課せられている税金であり、従って、土地や家屋を所有しているものから徴収することになります。固定資産税の納税義務者は1月1日現在、登記簿に所有者として登記された者となっています。名義人と実際の所有者が異なる場合(例えば、購入者が名義変更を遅らせた等)においても、固定資産税の納税義務者は名義人であり、実質的所有関係は考慮されません。(地343)
課税標準額
課税標準額は、税額を算定する時に税率を乗じる基となる価格をいい、課税台帳に登録された金額です。
なお、土地の固定資産税評価額は、公示価格の7割程度に評価されています。
1.住宅用地に対する軽減措置
①住宅用地のうち住宅1戸につき200㎡以下の部分
課税標準額×1/6×1.4/100=税額
②住宅1戸につき200㎡を越える部分(最大限、家屋の床面積の10倍まで)
課税標準額×1/3×1.4/100=税額
従って、現在未使用のまま放置されている土地にマンション等を建築すれば、住宅用地となり、固定資産税が軽減されます。
注)住宅用地とは、床面積のうち4分の1以上が住居用の家屋の敷地をいい、居住割合が4分の1以上2分の1未満のときは、敷地の半分まで、(地上階数5以上の耐火建築家屋の場合は4分の1以上2分の1未満のときは、敷地の半分まで、2分の1以上4分の3未満のときは、敷地の75%まで)が対象となります。
2.新築住宅に対する減額措置
平成26年3月31日までに新築された住宅で次の要件全てを満たすものについては、取得後一定期間は固定資産税の2分の1が軽減されます。
①対象となる家屋
床面積のうち50%以上が居住の用に供されるもの。
②免責制限
床面積50~280㎡(貸家の場合は40~280㎡)
③減額される期間
3階建て以上の中高層耐火造または簡易耐火造 5年
その他 3年
④減額率
120㎡までの部分について1/2に減額する。
なお、住宅から除かれる別荘の範囲は「日常生活の用に供しない家屋のうち、専ら保養の用に供するもの」となります。つまりいわゆる「セカンドハウス」も住宅の中に含まれることになります。
注)セカンドハウスは別荘とは異なります。
保有コストの軽減について
不動産を保有するには、その利用や収益に関わり無く固定資産税等のコストがかかります。
更地保有:固定資産税の軽減なし
賃貸等で保有:住宅で利用している場合は軽減がある。
具体例
・課税標準額6,000万円の土地(200㎡)を更地で保有している場合
税額(土地)は6.000万円×1.4%=84万円
・課税標準額6,000万円の土地(200㎡)に賃貸アパートを建設した場合
税額(土地)は6,000万円×1/6×1.4%=14万円
つまり、固定資産税は84万円-14万円=70万円減額となる。この場合、その他の条件を含めて総合的に不動産事業としての採算性を検討する必要がありますが、土地有効活用の一策ではあります。
3.既存住宅に係る耐震改修促進税制
新耐震基準(昭和56年施行)を満たさない既存住宅の自発的な耐震改修を促進するため、税額が2分の1相当額減額(床面積1戸当たり120mまで)されます。減額期間は、改修工事が完了した年の翌年度分から、次の工事完了時期に応じ、それぞれ次の期間です。
(1)平成18年1月1日から平成21年12月31日までに改修した場合 3年度間
(2)平成22年1月1日から平成24年12月31日までに改修した場合 2年度間
(3)平成25年1月1日から平成27年12月31日までに改修した場合 1年度間
4.既存住宅に係るバリアフリー改修工事の減額措置
高齢者、障害者等が居住する平成19年1月1日以前から存する住宅(貸家を除く) について、平成19年4月1日から平成28年3月31日までの間に一定のバリアフリー改修工事を施した場合、当該住宅の翌年度分に限り、 床面積100m相当分までの固定資産税額の3分の1が減額されます。
5.長期優良住宅に係る減額措置
長期優良住宅等の整備の促進に関する法律の制定に伴い、平成21年6月4日から平成26年3月31日までの間に新築された長期優良住宅について、認定を受けて建てられたことを証する書類を添付して市町村に申告がされた場合には、新築から5年度分中高層耐火建築物にあっては7年度分に限り、当該住宅に係る税額1戸当たり120m相当分までに限る。の2分の1を減額する 特例が設けられています。
注1)新築住宅に対する減額措置に代えて適用されます。
注2)床面積等の要件は、新築住宅に対する減額措置と同じです。
6.省工ネ改修住宅に係る減額措置
省エネ改修を行った住宅に係る固定資産税について、 次のとおり税額を減額する措置が創設されました。
(1)平成20年1月1日に存していた住宅で、平成20年4月1 日から平成28年3月31日までの間に一定の省エネ改修 工事を行ったもの賃貸住宅を除く。について、修工事が完了した年の翌年度分に限り、当該住宅に 係る固定資産税の税額1戸当たり120m相当分までに限る。の3分の1が減額されます。
(2)減額を受けようとする納税義務者は、改修後のそれ ぞれの部位が省エネ基準に適合する事となったことにつき、証明書を添付して、改修後3カ月以内に市町村に申告しなければなりません。
7.基準年度の評価替えと負担調整措置
固定資産税の基礎となる固定資産税評価額は、地家屋については3年ごとに評価替えが行われます。評価替えの年度を基準年度とし、平成24年度がそれに該当します。
平成24年度の評価替えに伴い、宅地等に掛かる負担調整措置の仕組みを継続するとともに、据置年度において地価が下落している場合に、簡易な方法により価額の下落修正ができる特例措置が継続されました。
商業地、住宅用地について、条例により、税額の上昇を抑制できる制度が創設されました。
(1)宅地
①商業地等の宅地
ア)商業地等の宅地のうち負担水準(注1)が70%を超 えることとなる土地については、負担水準が70%を超えることとなる土地については、負担水準を70%ととした場合の税額とする措置が継続されています。
イ)商業地等の宅地のうち負担水準(注1)が60%以上 70%以下の土地については、一律据置措置となり ます。
ウ)商業地等の宅地のうち負担水準(注1)が60%未 満の土地については、次の額(A)を課税標準 額とした場合の税額が限度となります。
当該年度の課税標準額(A)=前年度分の課税標準額+当該年度分の価格×5%
ただし(A)が(価格×60%)を上回る場合には、(価格×60%)を課税標準額とした場合の税額を限度とし、(A)が(価格×20%)を下回る場合には、(価格×20%)を課税標準額とした場合の税額が下限となります。
注1)負担水準=(前年度の課税標準額/当該年度の評価額)×100(%)
②住宅用地
ア)住宅用地のうち負担水準(注2)が本則課税の90%以上の土地については、一律据置措置となります。
イ)住宅用地のうち負担水準(注2)が本側課税の90%未満の土地については、次の額(A)を当該年度の課税標準額とした場合の税額が限度となります。
当該年度の課税標準額(A)=前年度分の課税標準額+本則課税標準額(当該年度分の価格×住宅用地特例率(1/6又は1/3))×5%
ただし、(A)が本則課税標準額の90%を上回る場合には、90%相当額を課税標準額とした場合の税額を限度とし、(A)が本則課税標準額の20%を下回る場合には、20%相当額を課税標準額とした場合の税額が下限となります。
注2)負担水準額=(前年度の課税標準額/該当年度の評価額×住宅用地特例率(1/6または1/3))×100%
(2)農地
いわゆる宅地なみ課税の対象となる特定市街化区域農地については従来どおり一般住宅地用と同様の扱いとするほか、一般の農地についても、負担水準に応じて、なだらかな負担措置がとられています。
都市計画税
都市計画税は、都市計画区域を有している市町村が 市街化区域に所在する土地、建物に対して課すものです。都市計画税も固定資産税と同様、登記簿に登記されている者が納税義務者であり、固定資産税の納税通 知書に納税額が併記されています。
都市計画税の税額は固定資産税課税標準額に税率 (最高0.3%) を乗じて算定します。(地702の4)
なお、土地に対する都市計画税についても固定資産税と同様に負担水準に応じたなだらかな負担調整措置をとるほか、市町村の判断で税額の引下げ措置、据置、措置をとることができることとされています。
住宅用地に対する軽減措置
都市計画税は、200m以下の住宅用地については課税標準額を3分の1,200mを超える部分の住宅用地については課税標準額を3分の2として税額を計算します。(地702の3)